Googleフォームのメリットとデメリットを考える

調査系論文を書きたい大学生にとっての強い味方。
そう、Googleフォームです。

「Googleフォームとはなんぞや!?」と思う方もいるかと思いますが、簡単に説明するとGoogleが無料で提供しているアンケートなどが簡単に行えるサービスです。

と、全然説明する気がない書き方をしてしまいましたが、要は「無料で質問紙調査がネットでできるぞ!!」ということです。

そんなGoogleフォームですが、それなりにメリットとデメリットがあるので、具体的にどんなことがあるのか考えてみました。



メリット

  1. 無料
 何と言ってもこれが大きいでしょう。Googleのアカウント(無料)を持っていれば無料で使用することができます。しかも、何回も何種類も行えるんです。Googleアカウントに付いてくるGoogleDriveというサービスの容量が限度になりますが、GoogleDriveの容量は無料で15GBあるので、Googleドキュメント、スプレッドシート、フォーム全部使っても15GB分使うことは到底できません。半無制限にできると思っていただいて大丈夫です。
 また、普通に質問紙を紙で印刷した場合は印刷費用が掛かりますが、それがないのが貧困大学生の強い味方ですね。ちなみに、Googleフォームがいいのではないかと思います。

  1. 入力の手間がない
 質問紙調査をやって一番面倒なのが、回収した質問紙をExcelなどに入力する作業。70問ある質問紙を200人分入力すると、14000問分入力しないといけません。しかも、入力ミス無く。大学の先生には「入力ミスをなくすために、友達がいない人は1人で2回入力して、その2つの入力結果をExcelで引き算して答えが0になれば大丈夫」と言われました。これを実行すると、28000問分入力するわけです。笑うしかありませんね。
 しかし、Googleフォームなら回答結果をGoogleスプレッドシートで出力し、さらにそれをExcel形式でダウンロードできるんです。技術の進歩はありがたいものです。ちなみに、データはwide型で出力されます。

  1. 欠損値を減らせる
 質問紙の大敵、そう欠損値です。大学時代に卒論で質問紙を行なっていた友人が170人分くらい質問紙を回収し入力した結果、10以上欠損あるのデータがあり「せっかく金と時間をかけてやったのに」と嘆いているのを見た事があります。質問紙も人間に回答してもうらいので、回答忘れがあるのは仕方がありません。でも、せっかく回答してくれた人のデータが使えないのも申し訳ない気がします。Googleフォームには”回答必須”という機能があるので、回答忘れがあると次に進めないようにできたりします。なので、この機能をしっかり使えば、基本的に欠損値をなくす事ができます。回答必須にする場合には、倫理的配慮を忘れないようにしましょう。質問項目によっては、回答必須を外し任意回答にする事が必要です。

  1. 拡散させやすい
 これは、大きいですね。私はSNSをやっていないのでSNSでの拡散はできませんでしたが、回答用URLをTwitterやFacebook、タイムラインなどで拡散すれば配り歩く手間は無くなりますし「よし、北海道と沖縄の友達にもお願いしよう」みたいなことや、友達も友達に広めてもらうこともできます。
 それに、調査対象が大学生ではない場合、例えば「大学生の子を持つ親」などとした場合に、普通の質問紙よりも拡散・回収ができます。

  1. 短時間で大量に回収できる
 「拡散させやすい」と似たような話になりますが、拡散させやすいことと同時に回収の手間がないこともGoogleフォームの武器です。質問紙調査では友達に「これ君の部活で撒いてくれない?」と頼んだ後、その友人が部活で集め、その友人からさらに回収する必要があります。しかし、Googleフォームを使うとその手間がありません。
 拡散させやすさと回収効率の良さにより、人脈次第では回答を極短時間で回収できます。私自身、卒論で急に質問紙をやることになった際には、48時間で約200人分の回答を集める事ができました。時間とお金のない状況では最強ですね。

  1. 共有ができる
 Google関連のサービスの大半はGoogleアカウントを持っている人同士で共有する事ができます。グループで研究を行う際に調査はGoogleフォームで、分析結果をスプレッドシートに載せて、本文をドキュメントで共同編集ということをすると、ほとんど会わずに共同研究ができます。コメント機能やチャット機能もあるので、使いこなすと効率が爆上がりです。

  1. 作成・修正が楽
 質問紙を作成する際にExcelなどで作るとセルの幅の調整やいろいろ面倒です。Googleフォームでは基本形がある程度決まっているので、質問文や項目を打ち込むだけで感作成でき、問題の順番などもドラッグ&ドロップでささっと出来ます。

  1. 回答結果から、質問を分岐させる事ができる
 質問紙調査をする際に、ある設問の回答結果ごとに次に進んでもらいたい質問が異なる事があります。例えば「恋人がいる人はこれ、いない人はこっち」みたいな。Googleフォームでは回答結果から、次の設問を分岐させる事ができます。無駄なページを印刷しなくてすむ!!
 また、これは統制群と条件群に分けたい場合などにも便利です。質問紙を2つ作って配布するよりも、携帯電話番号の下1桁が奇数か偶数かで分けて、その先の質問を分岐させる事で2群をバランスよく集められます。私も調査を行う際に携帯電話番号で3郡に分けましたが、綺麗に分かれるものです。

  1. SNS系の研究では、SNS使用者にピンポイントで回収できる
また拡散させやすいに近い話ですが、SNS利用者に対する調査を行う際にはGoogleフォームで行う方が効率がいいです。まだ、Googleフォームを知る前に、知り合いがSNS関連の調査をしていて、質問紙を配る際に毎回「Twitterは使っていますか?」から始まって、3割くらい白紙のまま返ってきていて、回収が大変そうでした。

  1. 質問紙調査以外にも汎用性が高い
これは、割と地味なメリットですが、いざという時に便利です。実験をする際に実験参加者との日程調整に利用したり、パーティーの参加者や必要事項を名簿化したいときなどに便利です。将来的に会社に入って「お客様にアンケートを取りたい」とか突然上司に言われても対応できますしね。




デメリット

  1. 妥当性の問題
 質問紙調査などの結果を分析する際には、ランダムサンプリングが前提となりますがインターネット調査では「本当にランダムサンプリングなのか」という問題があります。質問紙も友達ばかりに配っていれば「ランダムなのか?」と言われそうですが、インターネット調査はインターネットに接続している人しか回答できませんし、友達伝いに広がっていく方法をスノーボールサンプリングというらしく、少なからず影響はあるみたいですね。
 さらに、インターネットの調査では質問紙に真面目に答えているか、本当のことを答えているか、みたいな事が分からないということをいう人もいます。個人的には、「それは質問紙も同じだろ!!」と思うところではありますが、確かにインターネットでの調査の方が信ぴょう性は落ちるのかなと思う部分もあります。この辺は新しい分野というか、インターネット調査の妥当性的な研究をしている人もいるとかいないとか...。

  1. 直接の配布に弱い
 大学生が質問紙を配る簡単な方法は、友人に頼む・授業で配る・学内で配りまくるなどが主な方法だと思います。私の友人で、学生が昼飯を食っている大きな教室で質問し配るのに1周、回収にもう1周して1回の昼休みで50部近く回収しているバケモノがいました。人見知りでなく、社交性が高い人、なおかつ見た目が良いとこのような方法が極めて有効なわけですが、GoogleフォームのQRコードを配布してもそんなに効果がなかったりします。紙の場合、すぐに回収ができるので良いのですが、QRコードを配った場合は「回答しといてください」となるため、本当に回答してくれる人が結構少なかったりします。
 授業で配布している友人もいましたが、いかんせん回答率は低かったようです。

  1. 質問紙の自由度は下がる
 これは、インターネット調査の現状での限界ではありますが、名義・順序・間隔・比率水準での回答は簡単に集められるものの、少し変わった調査をしようとするとGoogleフォームがたいおいできない場合があります。私の知っている調査では、「点Aをオタクな人だとすると、あなたはどの位置にいますか?四角の中の好きな位置に丸を書いてください」や「Bがどれくらい自分に近づいてきたら不快感を感じますか?線上に棒人間を書いてください」などの自由度の高い回答を求める質問にはGoogleフォームは弱いです。早く技術の進歩が望まれます。

  1. 回答してくれる人が減る
 Googleフォームは拡散性は高いですが、その分回答率は引くように感じます。卒論の時期でGoogleフォームのURLがたくさん送られてくると、どれに答えたか忘れますし、何より面倒臭いです。回答率は下がるが、拡散させやすいのでプラマイゼロという風に考えた方がいいかもしれません。




まとめ

 ここまでつらつらとGoogleフォームのメリットとデメリットを書いてきましたが、個人的にはGoogleフォームが好きです。メリットの方が多く書いてあるので、伝わっていたかもしれませんが。しかしGoogleフォームも所詮、道具の1つです。デメリットでも書いたように、自由度には限界があります。自分の研究に合っている方法・道具は何か、ということを考えて使っていただければと思います。方法や道具をたくさん知っていて、たくさん使える事ができればそれだけ自分の研究の幅は広がります。これはRでの分析にも言える話ですが、卒論本番までにより多くの方法・道具に触れることをお勧めします。
 そして、質問紙調査は顕著に自分の持っている人脈が可視化されます。”よっ友”は多くても、自分が卒論で大変な時期に助けてくれる、協力してくれる友人が何人いるかによって回収の大変さに大差が出ます。研究を進めていく中で、自分がどのくらいの時間で分析に必要な回答を回収できるかは自分の人脈と質問紙の内容などを考えて吟味するといいでしょう。追跡調査では、事前事後セットでの回収が極めて難しいです。例えば、回収率が70%でも、2回行えば0.7の2乗なので、セットでの回収率は49%まで下がります。そう考えると、200部回答を集めたかったら、紙媒体なら400部以上は配布し、事前の回答が286部回収されていないといけませんね。つまり、追跡調査は大変という話です。
 最後に、拡散力はあるが分析力がない人が、拡散力はないが分析力のある人とGive&Takeの関係が築けるようにするといいです。万能な人は自力でできますが、そうでない人は助け合いが大切です。



さて、次回はGoogleフォームの使い方を簡単にご紹介します!!

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